「テクノロジーで、もっと優しくて、もっと面白い世界へ」世界初のサービスやプロダクトの開発をしながら、日々思うこと。

Keisuke Kawahara

河原 圭佑
ソフトウェアエンジニア

「テクノロジーで、もっと優しくて、もっと面白い世界にしたい」

―WHILLにはいるまでを教えて下さい。

小さい頃から工作が好きでした。何かを面白いものを作って、誰かに見せた時、その人の目がキラキラ輝くのが嬉しくて、どういうものを作れば、人を感動させることができるのかと考えながら、工作に没頭していました。

根はあまり変わらないまま、時は経ち、大学に入学し工学部に入りました。専門は制御工学や情報工学などで、課外活動でロボコンや趣味のデバイス開発等をしていました。

大学生になっても小さかったときと同じように、何か面白いものを作って、誰かに見せるのが好きでした。見てくれた人の目がキラキラ輝いて、その人の中で何かがアップデートされたような瞬間を見るのがとても嬉しく、コンペティションに作品を展示したり、落合陽一先生の研究室に共同研究生としてお手伝いさせてもらったりして、色々な展示の機会をもらいました。

大学で工学を勉強しながら、自分の作りたいものを作るのはもちろん楽しくて、充実していたのですが、このまま自分の満足のためだけにものを作っていて良いのか、というモヤモヤも少しありました。もっと誰かの役に立てるようなものづくりをしたいという気持ちが強くなっていた時期が何故かありました。

そんな時に、ある出来事に遭遇しました。

駅で、白杖を持った方と歩きスマホをしている方がぶつかって転びそうになっている場面を見かけたんです。

その時、自分は、なぜスマートフォンにはこんなにもテクノロジーが詰め込まれているのに、白杖はただの木の棒なのだろうか。と、その時感じたのです。

そして、何か困っている人に、テクノロジーのスポットライトを当てて上げたら、どうなるのだろうと思うようになりました。

そう思って、大学の教授に直接お願いして早い段階から、自主的に大学の予算を取って、障害者支援のデバイスやシステムの研究をやらせてもらっていました。

誰かをワクワクさせるような面白いものを作りたいという気持ちと、誰かの役に立つものを作りたいという気持ちが強くなっていた。そんな感じの大学生でした。

そして、20歳になったとき、この「テクノロジーで、もっと優しくて、もっと面白い世界へ」というのを自分の生き方にしたいと自分の中で密かに決めていました。

開発したロボット白杖。他にも成果が評価され、卒業時には学長表彰も受賞

―新卒ではソニーに入社したんですよね。

就職活動をするときに、自分の技術力をもっと磨きたいというのと、やっぱり人をワクワクさせるようなプロダクトの開発に携わりたいと思って、ソニーにエントリーしました。
当時のCEOだった平井さんが「ソニーのミッションは感動を届けることだ」と言っていて、この会社で働きたい。と思いました。
ソニーでは、研究開発の次世代商品開発の部署に配属されました。
基礎研究というよりも、応用的な分野で商品開発に近い部署だったので、UXに関する仕事 や サービス/プロダクトの提案など、色々な経験をさせてもらいました。
学生の時は、半ば感覚的にやってしまっていたプロダクトの企画や、UXに関する考え方などを効率的に/言語化しながらできるやり方など、多く学ばせてもらえました。
チャレンジする時のリスクより、チャレンジしない時の機会損失のほうが大きい。

―そんな中なぜWHILLに転職したのですか?

もともと、自分がなぜメーカーに就職したかと言うと、チームで ものづくりがしたかったかというのがありました。大学の研究室では、一人で研究することが多いので、どうしても一人の限界を感じます。チームで一つの価値を作りあげるのをやってみたいなというのが、就職しようと思った決め手でした。
ただ、社会人になって少し経って、だんだんと世間との距離感に違和感を覚えるようになりました。大きい会社で大きい組織だと、どんな会社でもスピード感が失われていくものだと思います。ソニーには、面白い人がいっぱいいて、勉強させてもらえる部分もかなり多くあって、毎日が楽しかったのですが、自分が所属していたのが研究開発の部署だったというのもあり、世の中にものが出てくるまでには時間がかかる印象を感じました。
大学で落合先生の研究室で色々な展示の機会を頂いたり、自分の研究で作ったデバイスを障害者の方に使ってもらっていたりしたりしていた時の感覚と、社会人になってからの感覚にかなりギャップを感じてしまいました。

こういった違和感とモヤモヤを感じていた時に、知人に誘われてWHILLに遊びに行くことがありました。
WHILLで色々な人と話してみて、自分と似たように、製品やサービスを世の中に出したいと本気で思っている人が多いと感じました。今の自分の上司である白井さんも元ソニーで、会って話してみると、共感するところがとても多かったです。
ただ、転職するかは正直かなり迷っていました。
せっかく新卒でソニーに入ったのに、1年も経たずにやめてしまっていいのか?という気持ちもありました。ベンチャーに行ったら、毎日忙しすぎて付いていけなくなるんじゃないか?という不安もありました。
しかし、ここで、チャレンジしないことを選んだら、一生チャレンジできなくなるような、何となくの強迫観念が自分の中にありました。WHILLに飛び込んで、世界を驚かせるようなプロダクトの開発に携われたら、どれだけ楽しいか。どんな経験ができるのか。WHILLは僕のやりたかった、「テクノロジーで、もっと優しくて、もっと面白い世界へ」を実現できる場なんじゃないか。そう思って、WHILLに入社しようと決めました。社会人10ヶ月目のことでした。

振り返ってみると、やっぱり、自分が20才になった時に自分で決めた生き方と、自分の気持に嘘はつけなかったのかなと思います。

「やらずに後悔するより、やってから後悔した方が良い」という言葉があります。僕は腹に力を入れて一歩踏み出すときに、この言葉を自分に言い聞かせます。チャレンジしてみないと、どうなるか分からないんですよね。若くて、失敗しても何とでもなるこのタイミングで、失敗を恐れて動かないほうがもったいない。そう思って、飛び込みました。

WHILL入社 2日前のツイート

入社するときには、なるべくユーザーに近い部分の開発をやりたいと、上司である白井さんにお願いしました。これは、ユーザーが最初に触れる体験の入り口やインターフェイスに興味があったからでした。
最初は、WHILLと連動するスマートフォンアプリの開発から始まり、WHILL本体のファームウェアも手伝わせていただいて、最近ではWHILLの自動運転サービスのタブレット端末の開発を任せてもらっています。自動運転の行き先を選択したり、お客さんに情報を提示したりするインターフェイスの役割を担っています。

今回、ガイアの夜明けで取り上げていただいたように、2020年6月には、コロナ禍のなかで、羽田空港第一ターミナルでのWHILLの自動運転システムの実用化に至りました。

実は、感染対策の必要性もあり、コロナ禍前に開発していた自動運転のサービス内容と、今回実際の導入するために必要だったサービスの内容はかなり違っていて、自分の担当部分であるUI/UXに関わるソフトウェアは、今まで作っていた大部分を見直す必要が出てきました。

自動運転部分の担当の堀さんや、上司の白井さん、チームメンバーと細かくオンラインミーティングをして、悩んでいることや、変更箇所を毎日細かく共有していたりもしました。

またコロナ禍で、普段のように出社しての開発や実際の空港での検証ができない状態だったので、思ったとおりに開発や検証が進まなかったというのもありました。

ソフトウェアの開発では会社のPCを一時的に持ち帰り、シミュレーター環境を活用しながらサービス全体をコントロールする部分のソフトウェアの開発や検証を行って、何回も、サービスの流れを確認していました。

直前の試験導入の時には、乗客の少ない深夜に自動運転担当の堀さんに空港に行ってもらい、自分や、他のメンバー達は、自宅から遠隔で繋いで検証したこともありました。

WHILL本体のログがリアルタイムに確認できるシステムを以前から作っていたおかげで、現地でのトラブルも、チームメンバーと細かく解析することができました。

予期せぬトラブルや、刻一刻と変わる世間の状況、開発の困難の数々に直面しながら、「本当に導入できるレベルのものができるのかな」と最初は何度か心が折れかけることもありましたが、「絶対に目指しているものを実現したい」「こんな時にこそ、世の中の為になるものを出したい」というWHILLのみんなの熱い気持ちを感じて、励まされていました。

そして世界初の一人乗り自動運転のパーソナルモビリティサービスを羽田空港に無事正式導入することができました。

―WHILLで働く面白さを教えて下さい

毎日いろんな課題と悪戦苦闘しながら、忙しい日々を送っています。

しかし、毎日充実していて、面白い仲間達と楽しく働くことができています。たまに街中で市販モデルであるWHILL Model Cに乗っている人とすれ違うと、とても嬉しい気持ちになって、WHILLに入社してよかったなと思います。

WHILLで働いて面白いのは、やはりベンチャーなので、スピード感や裁量があること、自分が考えたアイデアを作って試して、導入まで全てを見据えられる点だと思います。

逆に少し泥臭い部分や、大変なことがあっても、その努力は決して無駄にならないので、頑張ることができます。

また、世界初のサービスやプロダクトを開発するために、世界で誰もやったことがないことをやることが多いので、導入にいたるプロセス自体も自分たちで考え、少ない人数、短い期間でいかにクオリティを担保するかという目線に立って、システムやサービスを作りながら、それを作り上げるプロセス自体も作る。そしてどんどん効率化していくのが楽しいです。

「“察し”ビリティ」をもっと高めたい

―今後の展望を教えて下さい。

WHILLで今後やりたいことは多くありますが、自分としてはUXをもっと良くしたいという観点で、「“察し”ビリティ」をもっと高めていきたいと思っています。

「“察し”ビリティ」っていうのは、「察する」と「アビリティ」をかけ合わせた自分の造語です。

例えば、人感センサー付きの照明って、近くを歩くと勝手にONになって廊下を明るくしてくれるじゃないですか。これは、人がそこを移動しようとしているという事を「察して」、必要なアクションを取ってくれます。(この場合は明かりを灯す)

こういった、わざわざユーザーの操作がないときでも、テクノロジーが「察してくれる」能力のことを「“察し”ビリティ」と自分の中で呼んでいます。

最近では、イヤホンを耳から外すと音楽が止まるとか、家に近づくとドアが解錠されるとか、「“察し”ビリティ」が日常に溢れています。

WHILLの自動運転システムも、例えば、ユーザーが利用を終了して、去っていくと、立ち上がったことを検出して、数秒後に自動で返却を開始するなど、人の行動を察するように作っているところもあるのですが、まだまだ改善の余地があると思っています。

操作が必要だと、それだけ、使うのが難しくなりますが、ソフトウェアが察して、自動で処理をしてくれると、誰でも簡単に使えるようになります。本来、日本は気配りや、察する文化的な背景があるので、親和性が高いのではないかと思っていますし、WHILLを多くの人に使ってもらうためにも、こういった工夫を多くしていかなければと思っています。

WHILLは、自分がやりたかった「優しくて面白い世界」が両方実現できる会社です。

今後もWHILLで、新しいことにどんどんチャレンジして、テクノロジーでもっと優しくてもっと面白い世界にしていければ良いなと思います。

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