自分の担当業務ができるベストパーソンは、自分。いつかは自分の生まれ故郷インドネシアにも、WHILLを走らせたい

Kharisma Nitiputra

カリスマ・ニティプトラ
Business Development

2020年8月25日、テレビ東京「ガイアの夜明け」で放映された、WHILL株式会社による、羽田空港での自動運転パーソナルモビリティの世界初の実用化。
コロナ禍の中、前倒しでの開発、実験や、在宅勤務などのハードルにも負けず、期限内の導入を実現させたWHILLの一人ひとりには、「サービスを世の中に出す」ことへの、執念とも言うべき強い思いがありました。それぞれのストーリーをお届けします。

20人も社員がいなかった当時のWHILL。まともなヒーターもなく、ストーブでみんな暖を取っていた

―WHILLに入るまでを教えて下さい。

生まれはインドネシアのジャカルタで、高校までそこにいました。大学ではアメリカで機械工学を学びましたが、4年間の在学中に東北大の交換留学プログラムで、1年間を日本で過ごしました。そして2012年に再来日し、「曙ブレーキ工業」という会社で生産技術者として働いていました。ちょうど日本の自動車関連業界全体がグローバル化に注力していたタイミングで、多くの海外からの学生を受け入れていたこと、自分自身、モビリティ業界や、ものづくりの世界に強い興味があったことが決め手でした。

―WHILLに出会ったきっかけは?

前職の先輩がWHILLに転職されたことでした。また同時期に、WHILL代表の杉江さんと、あるスタートアップ系のイベントで知り合う機会があり、コーヒーを飲みながら、会社のミッションやビジョンについて話を聞いたりしたのがWHILLとの出会いで、ボランティア的に手伝うことになりました。

最初は、WHILL Model Aの日野工場での初回ロットの50台の組付けを手伝っていました。当時は、まだ町田に拠点があって、20人も社員がいなかったと思いますが、皆同じ部屋で過ごしていました。まともなヒーターもなくてストーブで暖をとっていたと思います。

今思い出しても非常にスタートアップ的な組織でしたが、社会人として最初の職場が大企業だった私には、非常に魅力的な場所でした。2年半を大企業で過ごし、自分の成長はやや遅いのではないかと感じていたところだったのです。職務担当範囲は非常に限定的で、自分の担当範囲をきっちりとやることが求められていました。キャリアアップの観点からは、エンジニアリング以外にも、生産、製造やビジネス面など、さまざまな側面を理解したいと思い始めたところで、WHILLでは自分の可能性を試せそうだと感じました。

まず、初号機WHILL Model Aの機械設計から取り掛かり、エンジニアリングを幅広く担当しました。

―現在の仕事を教えて下さい。

幸運なことに、エンジニアリング以外にも多くの職域を経験できています。現在は、MaaS事業部において、自動運転システムのプロダクトマネジメントを経て、ビジネス開発を主に担当しています。WHILLは、自動運転パーソナルモビリティをCES2019で発表しましたが、実際にそのデバイスをどのようにサービスとパッケージ化して、お客様が実際に使える状態になるのかということを常に考えています。そのためには、お客様の課題を正しく理解し、製品とお客様の間の架け橋とならねばなりません。特にBtoBのビジネスだと、直接対峙するお客様だけではなく、お客様のパートナー会社様、そしてもちろんエンドユーザー様など、多くの登場人物がいらっしゃり、すべての方々に気を配る必要があります。

「こんな技術を、もっと世界中に広げてほしい。」お客様の声を今も思い出す

業務にあたっては、ビジネス面と技術面のバランスを取ることに特に気を配っています。もともとはエンジニアリングのバックグラウンドがあることから、私の中身はまだエンジニアのようで(笑)、技術的に完璧なものを作りたい自分と、お客様のニーズを正しく読み取り、社内のリソースも的確に理解して、ベストなバランスを取れるようにいつも気を付けています。ある技術的な案件にこだわれば、それはビジネスの他の点を犠牲にするかもしれない、この技術に投資しすぎると利益は確保できるのか、など配慮します。エンジニアとしての視点から、ビジネス面も踏まえて、プロジェクトを俯瞰できるようになるには、ほぼ2年かかったと思います。

―仕事をする上でのやりがいとは?

お客様が製品に満足してくれるときや、特に、実証実験などで、エンドユーザーの方が始めて製品を試してくれたときの満足そうな様子は、いつもやりがいにつながっています。2年前は影も形もなかった製品が、こんなにもスピーディーに形になったことは誇らしいですし、同時に、私達のチームが組織として成熟したことも、嬉しく思います。

印象的なエンドユーザーの方がいます。羽田空港で実用化されたWHILL自動運転システムを使われた4人連れのご家族で、交通事故で歩行用の杖を使われている男性がいらっしゃり、奥さんが、小さい子どもたちの面倒を見ながら、男性の荷物を運んでいました。男性はWHILLの利用を希望され、「こんな乗り物を待っていたんだ。子供はまだ小さいし、いつも荷物の運搬で妻に負担をかけていた。そして、もっと自由に移動したかった」とおっしゃったんです。

乗り心地や、操作デバイスの使い方も問題なく、ソーシャルディスタンスを保つため、私達は少し離れた場所から見守りましたが、サービスを利用された後、男性は「こんな技術を、もっと世界中に広げてほしい。コロナが落ち着けば、もっと多くの人が旅行するようになると思うし、リハビリ仲間の中には、車椅子サービスを頼むことが心理的にハードルと感じる人々もいる」とおっしゃっていました。このようなサービスを生み出せたのは、非常に充実した経験だったと思います。

BBCでも大きく報道された

「組織の中で、自分の担当業務ができるベストパーソンは、自分だ」と知る

―WHILLで働く良い点を教えて下さい。

チャレンジを恐れない点だと思います。トライを繰り返してPDCAを回し、ある方法がうまくいかなければ、それを責めるのではなくて違う方法をまたトライする。このような環境で働いているおかげで、考え方も柔軟になりますし、チームそのものも柔軟に動けます。また、スピード感も強みの一つですね。会社としても、グローバルに勝てるポテンシャルは十分にあると思いますし、日本人以外にも働きやすい環境だと思います。

―WHILLで働くことを考えている人になにかアドバイスはありますか?

二つあって、間違いを恐れない、ということだと思います。間違いを恐れると、パフォーマンスも低下します。もう一つは、「組織の中で、自分の担当業務ができるベストパーソンは、自分だ」と知ることです。他人が、自分の仕事に対してなにか批判したとしても、その人は自分よりうまくできるわけではありません。そして、それは逆もまたしかりで、同僚に対してなにか批判したくなっても、その仕事をするに、一番ふさわしいのはその同僚なのです。我々はまだスタートアップなので、まだやったことがないことも多くあります。そのような中で、お互いへのリスペクトはとても大事だと思います。

―今後の展望を教えて下さい。

個人の目標としては、よりチームを率いるようなポジションにも挑戦したいと思っていますし、一人の組織人としては、今後はAPAC全体も視野に入れています。いつかは自分の生まれ故郷にも、WHILLが走るようになると素敵ですね。

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