未来のモビリティが大河ドラマゆかりの地を走る! アクティブシニア世代を惹きつける観光都市づくりとは

 

2020年大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀ゆかりの地である西教寺。敷地内には明智光秀一族と、明智光秀の妻の墓があるそうです。大河ドラマの放映に伴い、今後シニア世代の観光客の大幅な増加が見込まれる西教寺のおもてなしはどうあるべきなのか。その答えの一つがWHILLでした。大津市産業観光部 観光振興課のご担当者にお話を伺いました。

 

風情のある観光地ならではのバリアフリー化の悩み

 

2018年4月19日、NHKが大河ドラマの制作を発表し、「麒麟がくる」の主人公が明智光秀と発表されました。観光のメインの拠点となると予想される西教寺のほかにも、大津市には、坂本城跡、比叡山延暦寺、城門が残る聖衆来迎寺、明智の陣太鼓がある盛安寺など、明智光秀ゆかりの場所が点在しています。大河ドラマに向けて、どう大津市の観光を盛り上げるかが大きな課題でした。

大河ドラマということを考えた時に、無視できないのが視聴される方々の世代です。視聴率は、若年層より50代以上のシニア層が圧倒的に高く、過去の大河ドラマのお客様アンケートなどをみてもやはりシニア層が多いという結果が有りました。今後、年間で10万人の来場見込みがあり、1%に当たる1,000人を歩行困難者として計算したときに、西教寺が抱える「壁」がバリアフリー問題でした。

 

西教寺は天台真盛宗の総本山であり、敷地は広くゆっくり歩いて回ると、ゆうに一時間はかかります。また、西教寺以外でも、大津市の「坂本」という地域は、名前の通り基本的に坂が多く、「通常の車椅子では走行が難しい」と懸念されていました。予約制で介助者などを手配することなども考えましたが、人もお金もかかってしまうことも懸念でした。

 

また、坂本地区は、市の風致地区にあたり、むやみに景観を変えることが禁じられています。また、戦国時代からずっと変わらない、風情のある観光地を、バリアフリーのために改装し、景観を損なうことにも抵抗を感じる方が多くいました。

 

「観光資源を壊さないバリアフリー化とは?」悩んだ末に見つかった答え

 

そんな時、「こんなに色々な技術が進化している時代なのだから、何かいい解決策がないかな?」と考えた市の担当者が、「最先端技術 車椅子 観光」などとネットで調べていた時に、WHILLのことを知りました。さらに、伊勢神宮で実際に使われているという記事も読み、ハード面でのバリアフリー化が景観を損なうのであれば、WHILLのようなソフト面でのバリアフリー化を進めればいい、というところが関係者の共感を呼びました。

導入に際しては、実際に西教寺の砂利道の坂道を上がれるのか?が心配されていましたが、WHILLに電話するとすぐに機体を持ってきて、試乗させてもらえました。乗った時の快適さで、これは西教寺でも走行できる、と確信しました。

砂利道の坂道を実際にWHILLで走行

 

実際、試乗している最中には、多くのシニアの方から、「それは一体なんや!」と声をかけられたそうです。お寺の中は、ある意味、時間が止まったような雰囲気です。そんな歴史的建物や雰囲気の中を、超未来的な乗り物が走っている。でも、デザインが良いため、ギャップはあるが、それが風景を邪魔していない。そんな理由で、皆さん声をかけていただいたのかなと市の担当者は想定されています。WHILLによるバリアフリー化への期待と同時に、大河ドラマと最先端技術という組み合わせは、話題性もあるのではという期待もありました。

すべての人が移動を楽しめる観光地に       

今後は、西教寺を起点として、町全体の観光を盛り立てるということが大津市全体での大きな目標です。観光施設単体はもちろんですが、町全体を楽しんでもらうにはどうするかが次の課題です。例えば、西教寺は主要な駅から徒歩数十分となかなか遠く、また例によって坂道が多い地形です。その距離の移動をどうするか、ということを総合的に検討しなければならないという課題意識があります。また、西教寺だけのバリアフリー化で満足するのではなく、他の施設での移動も総合的に考えなければなりません。

今後、大津市は国内だけではなく、海外からの観光客も積極的に増やしていこうと考えています。そのために、すべての観光客の方が楽しんで移動できる町づくりを、全体で進めていきたいというのが、大津市関係者のみなさんの思いです。

関連プレスリリース:<プレスリリース>大河ドラマ「麒麟がくる」大津市観光振興協議会が、明智光秀公ゆかりの西教寺で、パーソナルモビリティWHILLを使用したシェアリング事業開始〜2020年3月からシェア開始、シニア世代の観光客需要に対応〜