アイデアとノウハウが詰まったこだわりのバッテリー

写真:佐藤 圭悟(Model C カスタム推進室)

「取り外し可能なバッテリー」について紹介します。バッテリーの取り外しが可能になったことで、バッテリーだけを室内に持ち込んで充電したり、予備バッテリーを携帯して旅先で交換するなど、WHILLから見える世界は今まで以上に広がります。また、電池容量300Wh以下のリチウムイオンバッテリーで規制にも対応しているので、電動車椅子ユーザーが搭乗される場合であれば、バッテリーの航空機への持ち込みも可能です。バッテリーの開発過程について、担当したエンジニアに話を聞きました。

 

屋外に置かれることもあるWHILL*

以前から取り外し式のバッテリーを作りたいと考えていました。バッテリー交換のためにお客様のご自宅に行って、どのようにWHILLが使用されているかを見せていただくのですが、部屋の外に置かれているお客様もいらっしゃいます。コンセントに繋いだケーブルを窓から出して充電されている場合など、スムーズに充電ができないケースがあります。また、マンションやアパートだと玄関先のスペースがなく、駐輪場に置かざるを得ない方もいて、バッテリーを取り外せないことがWHILL購入のネックになっている状況もありました。バッテリー担当者として、そういった問題を解決したいと強く感じていました。

*屋外での保管においては、雨やほこりを避けた状態での保管を推奨します。

 

パナソニック社の協力

Model Cのバッテリーはパナソニック社の専用設計です。リチウムイオンバッテリーに仕様を決めた当初、どのサプライヤーから部品を供給してもらうかは非常に重要な課題でした。

車椅子のような絶対数も少ないマーケットで、我々のような新規の会社は発注する単位数も多いとは言えず、質の高い部品を仕入れることはすごく難しいことなんです。それに加え、「アプリでバッテリー状態をわかるようにしたい」「後ろからの外観をかっこよくするためにLEDのバックライトを搭載したい」など、技術面でもデザイン面でも我々は人一倍の要望を持っています。

そんななか、パナソニック社が本気になって協力してくれたのは、WHILLの製品そのものに魅力を感じていただけたからかと思います。加えて、Model Aを応援してくださった皆様によって構築された、会社としての信頼感と期待感も非常に大きい要因だと感じています。

我々の熱意に共感してくださったことで、低価格で品質の高いバッテリーをModel Cに搭載することができました。Model Cのバッテリーには、車椅子/福祉用具のイメージにとらわれない我々のアイデアと、パナソニック社のノウハウが詰まっています。

 

「電池が切れるかも」という不安のない社会へ

外出先でバッテリーがなくなるって、電動車椅子ユーザーにとってどれだけ致命的なことか我々もよく理解しているので、そういった不安のない社会を実現したいです。そのためにバッテリーの技術的な改善に取り組むことはもちろんのこと、社会的な変革でその不安を解決していきたいと考えています。

例えば、旅先の空港などでバッテリーをレンタルできたり、カフェで気軽に充電できるようになったら、より電動のモビリティが便利に楽しくなりますよね。そういったことを今後ユーザーと一緒になって進めていきたいですね。

WHILL株式会社 Model C カスタム推進室 室長 佐藤 圭悟 (Keigo Sato)
東北大学大学院 工学研究科 バイオロボティクス専攻 卒業。トヨタ自動車株式会社から2015年にWHILLに入社。Model C カスタム推進室 室長として、アクセサリー開発などWHILLのカスタム業務に従事。

 

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