乗る人の魅力を引き立たせるようなデザイン

写真:鳥山 将洋(デザイン部)

WHILLの最大の特徴であり、WHILLらしさである「デザイン」。Model Cの外観がどのような意図でこの形になったのか、担当デザイナーに話を聞きました。

 

まずはシルエットで考える

WHILL Model Cのデザインを担当した私は、自動車メーカーで外装・内装をデザインしていました。前職で培ったスピリットは、Model Cのデザインにも活きています。

我々が最初に作りだすのは「シルエット」です。まず、どのシルエットがカッコよく見えるか、そこから製品づくりはスタートします。何度もスケッチを重ね、「カッコよさ」を第一に検討したのち、利便性や機能性を磨いていきます。

パンフレットの表紙にもなっていますが、斜め後ろから見たときに、後輪からバッテリー、アームサポートまでが直線で同じ角度で伸びていますよね。我々は「GoGoLine」と呼んでいて、ここを美しく見せることで、WHILLの前進していく乗り物感を表現しています。例えば、このラインが曲がっていたり、バッテリーがこの直線からはみ出ていたらカッコよくないですよね。ここを直線に見せることにはエンジニアも私も本当にこだわりました。

Model Cのデザインスケッチ

後輪から伸びる「GoGoLine」

 

他の車椅子とは一線を画す「色」へのこだわり

Model Cは小学生からご高齢の方まで幅広い年代の方にご使用いただいています。どの年代の方にも馴染むというのはWHILLの重要な要素だと感じているので、カラーバリエーションはどの年代にも合うように、8色ご用意をしました。

カラーバリエーションで目指したのは、「元気に見える、でも上品にも見える」という印象です。そのテーマを実現するために何度も試作を重ねました。ピンクやゴールドは、シャンパン系の色味を入れて上品に仕上げています。こういった透明感のあるピンクってあまり車椅子、福祉用具になかったんですよね。ゴールドは男女問わず人気の色です。特に難しかった色はブルーとブラックですね。ブルーは普通に塗装するとどうしても沈んだ印象になってしまうので、落ち着きと爽やかさを兼ねた明るい印象にするために何度も試作しました。ブラックは遠くから見たときは深い黒が出て、近くに寄って見たときは繊細な美しさが感じられるように、パールの量を微妙に調節しています。

他の色も、屋内で見たとき、屋外で見たとき、晴れの日、曇りの日、様々な光のもとで色の出方を何度もチェックしました。実物を見てみるとまた違った印象を持つかもしれません。現在、どの色にもまんべんなく予約をいただいていることに喜びを感じています。是非実物を見て選ぶ楽しさを感じていただきたいですね。

 

WHILLを自己表現のためのアイテムにしていきたい

今回我々は、Model Cで、8色のカラーバリエーションを展開しましたが、今後はもっと多様なパーツを好みに合わせてカスタマイズできるようにしていきたいと考えています。例えば、タイヤの色やシートの素材を変えられるようにしたいですね。

WHILLが「私に似合っている」という感覚を持っていただけるようなものを今後も作っていきたいです。乗る人によって「かっこいい」にも「可愛い」にも、「スポーティ」にも「上品」にもなる。主役は「WHILL」ではなく「人」です。WHILLが乗る人を差し置いて主張するのではなく、乗る人の魅力を引き立たせるような存在でありたいと思いますね。

 

デザイン部 デザイナー 鳥山 将洋(Masahiro Toriyama)
マツダでエクステリア・インテリアデザイナーとして車のデザインを担当した後、2017年にWHILLに入社。デザイン部デザイナーとして、WHILLのデザインに関わる。

 

次のエピソードを読む:テクニックを必要としない「分解」を目指した