テクニックを必要としない「分解」を目指した

写真左から:上月 豊隆平田 泰大、龍 基南(機械技術部 シャシー開発グループ)

Model Cは工具を使わず3つに分解が可能で、ほぼどんな自動車にも簡単に積載することができます。この「分解機能」を実現するための設計作りに携わった3人のエンジニアに開発過程について話を聞きました。

 

分解機能を採用したのはModel Aのお客様の声から

Model Cのプロジェクトは2015年の春に開始しました。Model Aに関して「車載したい」「置き場所がない」といったユーザーの声を受けて、Model Cのコンセプトは「ポータビリティ」に決定しました。簡単に分解できて、狭い玄関や車のトランクなど、どこにでも置けることを実現すべく製品づくりをスタートさせました。

「レバーを引いて、パーツを外す」

Model Cはただこの動作だけで、3つに分解することができます。

誰でも手順通りやればできる簡単な分解のために、私たちは以下のポリシーを持って製品開発をしてきました。

「ながら動作」と「両手が必要な動作」を極限まで減らす

シートを持ち上げること以外は、全て片手で分解できることを目指しました。「何かをしながら、他の動作をする」という「ながら動作」はそれだけでユーザーにとって複雑な手順になってしまうと、私たちは考えます。レバーを引いて分解したとき、後輪と転倒防止バーでメインボディが自立するので、ドライブベースを外すとき、メインボディが倒れるのを気にしなくていいんです。組み立てるときも引っ掛けて、メインボディを倒すだけ。

ユーザーミスをゼロにする

分解を可能にするためには、分解した接続部分を多くのネジやピンを使って固定することが必要になります。しかし、小さいピンやネジを外す工程があると、それらを無くしたり、つけ忘れたりと、使う人によるミスが発生する原因となります。そのようなトラブルを減らすために、細かい部品を外すような手順は避けました。シートとメインボディの接続部分にはマグネットコネクタが採用されており、磁石の力で正しく接続されるので、ミスなく簡単に付け外しができます。

分解できるのに、安定した走り

そもそも安定性のある車体と簡単な分解機能はトレードオフの関係にあります。分解機能のある製品を実現するためには、まずガタつきの解消が必要でした。簡単に分解ができるということと、ガタつきのない安定感の両立は非常に大変でした。シートとメインボディの接続部分では、分解によって生じる前後左右回転全ての揺れを、ひとつひとつ全て解消していくのにかなりの根気が必要でした。Model Cの簡単な分解機能からは想像できないほどの、安定したスムーズな走りを是非体験していただきたいです。

機械技術部 シャシー開発グループ

グループリーダー 平田 泰大 (Yoshihiro Hirata)
日本大学 生産工学部 機械工学科卒業。曙ブレーキ工業で自動車のブレーキ設計に関わった後、2014年にWHILLに入社。機械技術部 シャシー開発グループ グループリーダーとして、WHILLのシャシー(車体全体の構造)部分の設計に従事。

メカニカルエンジニア 上月 豊隆(Toyotaka Kozuki)
東京大学大学院 情報システム工学研究室卒業。2016年にWHILLに入社。機械技術部 シャシー開発グループ メカニカルエンジニアとして、WHILLのシャシー(フレーム)部分の設計に携わる。

メカニカルエンジニア 龍 基南(Kinam Yong)
仁川大学校 機械工学科卒業。2016年にWHILLに入社。機械技術部 シャシー開発グループ メカニカルエンジニアとして、WHILLのシャシー(フレーム)部分の設計に携わる。

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