近距離用のモビリティとサービスを提供するWHILL株式会社(代表取締役兼CEO: 杉江理、本社:東京都品川区、以下WHILL社)は、2020年8月3日(月)~8月6日(木)に、モビリティ利用における生活者の意識を把握するため、全国65歳以上の男女600名と、歩きづらさを感じている親を持つ30代~50代の男女300名を対象に、「シニア世代におけるコロナ禍の外出・社会参加影響調査」を実施しました。
<調査背景>
新型コロナウイルスの影響によって、外出自粛が叫ばれる中、シニアの外出頻度の減少や、人との関わり合いが減少することにより、認知症の進行や生活不活発病の発症が懸念されています。そこで今回は、直近1年前と現在の比較などを交えて、65歳以上のシニアの社会参加機会の変化に関する調査を行いました。報道の一資料として、ぜひ活用ください。
【調査概要】
調査方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の65歳以上の男女および、歩きづらさを感じている親を持つ30代~50代の男女を対象に実施
有効回答数:①65歳以上男女600名(平均年齢74.2歳)
うち歩きづらさを感じている方300名:男性236名、女性64名、歩きづらさを感じていない方300名:男性247名、女性53名
②歩きづらさを感じている親を持つ30代~50代男女300名(平均44.9歳、男性149名、女性151名)
調査実施日:2020年8月3日(月)~2020年8月6日(木)
「シニア世代におけるコロナ禍の外出・社会参加影響調査」サマリー
コロナ禍により、シニア世代の約7割で緊急事態宣言後に「社会参加機会」が減少していることが判明。
特に、歩きづらさを感じているシニアでは、その傾向が顕著。
身体の状態や社会と関わり合いへの自信の欠如が、さらに社会参加をためらう要因に。
外出機会の減少が、負のスパイラルを引き起こしている可能性がうかがえる。
自由に動けるモビリティが、外出への自信を取り戻し、生活意欲高める可能性が。
シニアの新様式は「上手にモノに頼ること」~東京都立大学准教授・藺牟田洋美氏 解説~
<調査TOPICS>
【TOPICS:1】コロナ禍で、外出回数減少。週5日以上の外出は1年前と比較し、34.8%減少。
さらに、外出目的にも変化が。観劇・映画を目的とした外出は86.7%減、友人・親戚宅訪問は76.1%減少。
【TOPICS:2】外出・社会との関わりが減ると、生活意欲が減退。3割以上が「楽しいと感じること減った」
【TOPICS:3】約7割が、外出頻度と共に社会との関わりが減少。
【TOPICS:4】身体や社会と関わり合いへの自信がなくなると、外出や社会参加をためらう。約6割が回答。
【TOPICS:5】コロナ禍で、1年前に比べて公共交通機関の利用が4割減少。代替手段の検討は困難な状況。
<以下、詳細調査結果>
コロナ禍により、シニア世代の約7割で「社会参加機会」が減少していることが判明。
特に、歩きづらさを感じているシニアでは、その傾向が顕著。
■1年前~現在との比較で、接する人々や公共交通機関の利用が減少。外出目的にも変化が。
【グラフ1】
新型コロナウイルスの影響による外出自粛の結果、シニアの外出頻度や、人との関わり合いはどのような変化があったのでしょうか。
まず、1日のうちに関わる人の種類について、1年前と半年前(コロナ拡大前)、3ヶ月前(緊急事態宣言下)、1ヶ月前(宣言解除後)そして現在のタイミングにて比較を行いました【グラフ1】。自身の子どもや孫、親戚との関わりが大きく減少したほか、友人・知人や近所の人との関わり合いも、大きく減少したまま回復に至っていない現状が伺えます。
【グラフ2】
日頃の移動手段にはどのような変化があったのでしょうか。徒歩や自転車などは、大きな変化が見られないものの、バスや電車の利用は大きく減少【グラフ2】。新型コロナの感染拡大により、公共交通機関の利用を控え、行動範囲が縮小していることが分かります。
【グラフ3】
【グラフ4】
また、外出回数にも変化が見られました。歩きづらさを感じている方と感じていない方共に、週に5日以上外出していた方が減少。その代わり、週に2~4日や週に1日の頻度といった方が増加しました。
注目すべき点として、緊急事態宣言下で週1回以下のシニアが増加。特に歩きづらさを感じている方では、1年前では週に1日以下と回答した方が12%なのに対し、現在は、32.7% と約3倍に増加していました【グラフ3】。 一方、歩きづらさを感じていない方でも、現在は、20.6%と1年前と比較し倍以上になりました 【グラフ4】。
【グラフ5】
さらに、外出目的にも一部変化が見られました。就労・仕事、通院や買い物に関しては、時期による大きな変化はありませんが、減少しているのは、友人・近所付き合いでした。一部食事や趣味の活動は、微増に転じていますが、未だ1年前に比べて、社会との関わりを持つための外出が損なわれたままです【グラフ5】。
■約7割のシニアが、外出頻度と社会機会が減少したと回答。
【グラフ6】
【グラフ7】
そして、外出や、社会との関わり合い(屋外で同居家族以外の他人と接したり、趣味を行う活動)の頻度の変化も聴取したところ、どちらも減ったという方は66.2%と約7割という結果になりました。特に、歩きづらさを感じている方は73.7%という結果になりました。
なお、外出頻度が減少したと回答した、歩きづらさを感じている方は、64.7%で、そうでない方は47.3%という結果となりました【グラフ6】。社会との関わり合いが減ったと回答した歩きづらさを感じている方は66.3%、そうでない方は53.3%でした【グラフ7】。
全体的に外出頻度や社会との関わりの減少が見られますが、歩きづらさを感じている方は特に顕著な結果となっています。
【グラフ8】
また、外出や社会との関わり合いの頻度のいずれかが減った方427名に、それらが減ったことの影響をお聞きしました。
歩きづらさを感じていない方は、「特に影響はなかった」が最多で、続いて「楽しいと感じることが減った」と答えました。
一方で、歩きづらさを感じている方では、「身体に衰えを感じた」「楽しいと感じることが減った」、「外出が億劫になった」、「外出する気持ちがなくなった」の順で回答が多く、身体的な虚弱および外出へのネガティブな感情の想起が見られました。なお、両群で共通していたのは「楽しいと感じることが減った」という日常生活におけるポジティブ感情の低下でした【グラフ8】。
身体の状態や社会と関わり合いへの自信の欠如が、さらに社会参加をためらう要因に。外出機会の減少が、負のスパイラルを引き起こしている可能性がうかがえる。
■歩きづらさを感じているシニアは、社会との関わりに対する自信も失っている。約半数が「自信ない」と回答。
【グラフ9】
【グラフ10】
さらに本調査では、体力や丈夫さなど総合的に見た身体への自信と、社会との関わり合いへの自信についてもお聞きしました。
歩きづらさを感じていない方に比べ、歩きづらさを感じている方は半数近くの47%が社会との関わり合いに自信がないと回答。大きな差があることが明らかになりました【グラフ9】。
そして社会との関わりへの自信がない理由は、「以前のように行動できないこと」や「すぐ疲れること」「他人との接点が少なくなっていること」など、できないことを感じると、自信を失う傾向が分かりました【グラフ10】。
■自信の欠如が外出や社会参加をためらう要因に。歩きづらさを感じているシニアでは、7割近くと顕著な結果に。
【グラフ11】
そして、身体や社会と関わり合いへの自信の欠如が、外出や他人との会話や趣味参加といった、社会参加をためらう要因になっていると、約6割(58.5%)が回答しました【グラフ11】。
外出機会が減ってしまうことで、自信を失うといった負のスパイラルが発生しているといえるでしょう。
さらに、歩きづらさを感じている人では7割近く(67.1%)が、外出や社会参加をためらっていると回答しました。
■外出機会の増加が、社会との関わりを加速させる可能性。9割近くが「前向きになれる」と回答。
【グラフ12】
【グラフ13】
また、外出に対する自信の程度も聞いたところ、7割以上が「目的なしの外出」への自信があると回答。さらに、「外出時に、体調が悪くなっても対応できる」 (62.3%)や、社会参加につながる「仕事や人のために、外出できる」(63%)について、6割以上が「自信がある」と回答しました【グラフ12】。なお、外出や社会との関わり合いの頻度のいずれかが減った方427名に、外出機会を増やすことで、社会参加に前向きになれるかを聞いたところ、9割が「前向きになれる」と回答【グラフ13】。外出機会の創出が、負のスパイラルを断ち切れるきっかけになるかもしれません。
自由に動けるモビリティが、外出への自信を取り戻し、生活意欲高める可能性が。
シニアの新様式は「上手にモノに頼ること」~東京都立大学・藺牟田洋美氏 解説~
■コロナ禍でシニアの外出頻度と社会参加の機会が減少し、心身もネガティブな影響を受けている可能性。
新型コロナ感染症拡大防止のための緊急事態宣言などを経て、約7割の高齢者で社会参加機会や外出頻度が減少していたことが明らかになりました。通院や日用品の買い物などの外出は宣言前後も変化はほぼありませんが、友人や知人との付き合いのための外出は減少しました。外出も社会的交流も必要最小限にとどめている日常が浮き彫りとなりました。
とりわけ、歩きづらさを感じている高齢者では顕著でした。外出行動は高齢者の健康のバロメーターの一つです。外出に伴う恩恵は心身の健康の保持、他者との交流、生活リズムの維持、楽しみの増加などがあります。
ところが、宣言後に外出や社会的付き合いに対して自信を失くした高齢者が多いことが明らかになりました。
行動の継続こそが自信につながります。コロナ禍で行動の自粛を余儀なくされた外出行動や社会参加に対する自信の低減は当然といえるでしょう。 但し、本回答者は心身ともに元気なシニアが多く含まれるため、結果の一般化は慎重にしなければなりません。
■将来、足腰が弱ったときに外出機会を減らさない手段を、今から検討する。
日頃の外出手段として徒歩、自転車、自分が運転する車、バス、電車の利用が多いことがわかりました。その中で遠方への外出を可能とする公共交通機関の利用が自粛以降約4割程度減りました(1年前との比較で電車:40.9%減、バス39.0%減)。
一方で、現時点において『将来、足腰が衰えても外出したいと考えている』人が7割以上(71.0%)もいました。
ところが、外出手段としての車椅子の利用に関して問われると、プライドが傷つくなどネガティブな回答が高齢者・家族どちらにも多く認められました(歩きづらさを感じているシニア300人のうち48.1%、子ども世代300人のうち61.3%が回答)。車椅子での外出は自立していないし、かっこ悪いといったところでしょう。
ですが、プライドが傷つくことを恐れた外出頻度の低下は、外出への自信低下につながり、外出への億劫さ、対人関係の希薄化や身体のフレイル化を引き起こします。その悪循環を断ち切るにはどうしたらよいのでしょうか。
そのためには、元気なうちに外出援助機器に関する知識を貯め、可能でしたら機器を体験しておくことが大事です。
■おしゃれな機器を自律的に活用することが、外出頻度を高め、外出範囲を広げ、社会的つながりをつくる。
高齢期で社会的つながりを失うことはフレイルの入り口です。フレイルとは要介護状態の前段階です。したがって、要介護予防のため、できるだけ家に閉じこもらず、外出し、人と可能なかぎりつながりましょう。
そのためには上手にモノに頼ることも大事です。視力が悪くなったら眼鏡、聴力が落ちたら補聴器を使います。同様に、歩行が難しくなったら杖・歩行器や車椅子で移動してみる。つまり、自分の足腰が弱って、外出に自信がなくなっても、外出援助機器を自律的に活用すれば、やりたいことができるチャンスが得られます。
例えば、WHILLはおしゃれで、自由自在に自分の意思で小回りが効く乗り物です。
WHILLに乗れば、行くことを諦めていた図書館に行くことができ、図書館で借りた本で話題ができ、その話題で人とつながるきっかけを見つける人もいるかもしれません。
しかしながら、高齢者ほど個人差の大きな世代はありません。高齢者の望む生活は家族が決めるのではなく、高齢者の自律性を尊重することが重要です。
人生100年の時代の到来です。上手に機器の力を活用しながら、自分のやりたいことをする。自律的に生きることは高齢者の幸せにつながります。
藺牟田洋美 (いむた ひろみ)
東京都立大学准教授
千葉大学大学院文学研究科行動科学専攻修了。博士(医学)。山形大学医学部助手、首都大学東京を経て、現在、東京都立大学大学院人間健康科学研究科准教授。高齢者心理学および健康科学が専門。研究テーマは高齢者の閉じこもりと介護予防など。
■WHILLについて
WHILL(ウィル)株式会社は、「すべての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションとして、世界中の歩道領域において、近距離移動のプラットフォームを作っています。
2012年5月に日本で創業し、現在、12の国と地域で事業を展開しています。パーソナルモビリティとMaaSの二つを事業の柱とし、パーソナルモビリティ事業では、デザインとテクノロジーの力を生かした、近距離用のモビリティとして、WHILL Model A、WHILL Model Cをはじめとする製品群を販売しています。
またMaaS事業においては、一人乗りのモビリティによる近距離移動サービス・システムの提供により、既存の交通機関を降りてから目的地までの「ラストワンマイル」の移動の最適化を行います。
<会社概要>
会社名 :WHILL株式会社
住所 :〒140-0002 東京都品川区東品川2丁目1-11 ハーバープレミアムビル 2F
代表取締役兼CEO:杉江理
創立 :2012年5月
事業内容 :1. パーソナルモビリティ製品の開発、生産、販売、関連サービスの提供
2. パーソナルモビリティ製品を使用した移動サービス(MaaS)の提供
従業員数 :約200名(グローバル連結ベース)(2020年8月現在)