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バスケだけじゃない、車椅子スポーツ。サッカー、テニスも! 種類と見どころをご紹介

健康や趣味のために、誰もが気軽に楽しめるのがスポーツ。車椅子を使ったスポーツも各地で楽しむ人が増えています。近年では各国でバラバラだった車椅子用のルールが国際ルールとして整備され、プロスポーツとしても注目されるようになってきました。

今回は車椅子スポーツをご紹介し、各競技の歴史やルール、そして使用される車椅子の特徴についてご説明していきます。観戦の際などに、ぜひ役立ててみてください。

車椅子を使ったスポーツはどんな種類があるの?

車椅子スポーツと聞くと、どんな種類のスポーツを思い浮かべるでしょうか?

実は、車椅子スポーツはよく知られているテニスやバスケットボール以外にもたくさんあります

陸上競技ならマラソン、短・中・長距離走やリレーや陸上のカービングと呼ばれるボッチャ、ラグビーなど色々な種類があるのです。

ドラマにもなった車椅子バスケ

2017年のお正月に放送された「君に捧げるエンブレム」(フジテレビ系列)というドラマをご存知でしょうか。事故によって脊椎を損傷したサッカー選手が、車椅子バスケで再スタートを切るという実話を元にした物語です。見る人に感動を与え、放送後は多くの反響を呼びました。そんな車椅子スポーツの中でも認知度が高い車椅子バスケについて、その歴史やルールを紐解いていきます。

車椅子バスケの始まりは?

車椅子バスケは、1946年に全米退役軍人病院で、戦争で負傷した軍人が始めたのが最初だとされています。その後アメリカを中心に普及し、1950年代にはスポーツとして世界中で盛んになりました。

日本では東京パラリンピックを契機として、クラブチームの結成や競技大会が開催されるようになり、その後活発化していきました。

車椅子バスケのルール

一般のバスケとほぼ同じで、1チーム5人で構成されます。

車椅子バスケ特有のルールとしては、ダブルドリブルがないこと(プッシュ(こぐこと)2回以内でドリブルをすれば、再びプッシュしても良い)、転倒した場合は自力で起き上がらなければならずさらにボールを持ったまま転倒した場合は相手チームのスロー・インとなることなどが挙げられます。

また、チームの公平性を保つために、各障害者の障害レベルに応じてポイントが付与され、1チームの合計が14ポイントを超えてはならないようになっている点も特徴です。これにより、障害が重い選手も軽い選手も、平等に試合に出場することができるようになっています

バスケで使用される車椅子の特徴

バスケ用の車椅子は、衝突時に足を保護するバンパーと、転倒防止用のキャスターがついています最も大きな特徴は、タイヤがハの字になっていること(キャンバ)です。このキャンバにより、旋回性が高まり、高速でターンしても転倒しづらくなります。

車椅子バスケのメジャー大会 天皇杯

車椅子バスケの国内の最も大きな大会は、日本車いすバスケットボール選手権大会で、毎年5月頃に都内で開催されます。この大会は昭和45年に開催されてから今年で46回目を迎えました。今年から優勝チームには天皇杯が下賜されることになり、スポーツ競技としては最高の栄誉を得たことになります。

国際ランキング1位は日本選手 車椅子テニス

車椅子バスケ同様、車椅子テニスは身近な車椅子スポーツの1つと言えます。

近年では国枝慎吾選手の活躍が目覚ましく、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。国枝選手は、グランドスラムのシングルス優勝回数はこれまで26回、パラリンピックのシングルスでは2回金メダルを獲得し、2018 年8月現在の世界ランキングは1位となっています。

女子では上地結衣選手が活躍していて、これまでグランドスラム6勝、リオ・パラリンピックでは銅メダルを獲得しました。

そこで、国枝選手や上地選手が活躍する車椅子テニスの歴史やルールについてご紹介します。(戦績は2018年8月現在までのものです)

車椅子テニスの歴史

1970年代、アメリカで車椅子テニスが創設されました。

1981年には、国際的な普及を目指して車いすテニス選手協会(WTPA)が設立されるなど、大きな動きが見られました。

日本に本格的に持ち込まれたのは、1983年のこと。自身が車椅子生活を送っていた松尾清美氏が、ハワイで車椅子テニスを体験し、日本への普及に努めました。

その後1992年にはパラリンピックの正式種目となり、2000年代にはテニスのグランドスラムにおいて車椅子テニス部門が創設され、車椅子テニスは世界中で愛されるスポーツとなったのです。

車椅子テニスのルール

ほとんどのルールが一般のテニスに準じていますが、大きく違うのが2バウンドまで認められていることです。テニス技術と、車椅子の操作技術が勝敗を分けます。

車椅子テニスは、バスケのように細かく障害レベルで分かれてはおらず、「男子」「女子」「クアード(手にも障害を抱える選手)」「ジュニア」という4つのカテゴリー分けのみ。障害の程度に関わらず対戦できます。

テニスで使用される車椅子の特徴

テニス用の車椅子も、バスケットボール同様ハの字に車輪が設置されています。これにより、激しいプレーでも転倒しづらいようになっています。また、安全性や後方への転倒防止のために小さなキャスターが付いています。

全仏、全英(ウィンブルドン)、全米、全豪の4大大会も開催

車椅子テニスには、ワールドチームカップなどの国際大会があります。その中でも四大大会(全仏、全英、全米、全豪)は最も大きな大会で、2002年の全豪オープンを皮切りに車椅子部門が創設されました。イギリスの伝統あるウィンブルドンは2005年にダブルスでスタートしたという経緯があります。

ますます完走タイムが短く、車椅子マラソン

車椅子マラソンが競技として認知されたのは、1975年のボストンマラソンからです。ある一人の青年が、健常者しか参加できないボストンマラソンに車椅子で参加できるように訴訟を起こし、それが認められたのがきっかけでした。

その後、車椅子マラソンの普及とともに競技用車椅子も発展し、マラソンの平均タイムは20年で1時間近く縮まりました

日本では大分国際車椅子マラソンから

日本にも車椅子マラソンを普及させようとする動きは70年代からあったものの、正式に競技が認められたのは1981年の大分国際車いすマラソンからです。現在では世界各国から200名以上が参加する世界でも最高レベルの大会になりました。

国内で開催される車椅子マラソンの大会はこのほかに、東京マラソンや大阪マラソンの“車いすの部”や、車椅子の単独開催の大会などがあります。

全国各地で大小さまざまな大会が開催されており、車椅子マラソンが日本に広く普及していることがわかりますね。

どんなタイプのレースがある?

日本では、フルマラソン、ハーフマラソン、10キロ、5キロなど、42.195kmに満たない距離であっても、トラック外で開催されるものを車椅子マラソンと位置づけられることが多いです。日本で開催される車椅子マラソンの大会のほとんどは、ハーフ以下の距離になっています。

マラソン用の車椅子は?

車椅子マラソンの普及とともに、競技専用の車椅子は目覚ましい発展を遂げてきました。

初期の頃の車椅子に比べて軽量化が進み、さらに2輪ではなく3輪の競技用車椅子が主流に。後輪はバスケやテニス同様、安定性を得るためにハの字に取り付けられています。車椅子の進化とともにレースのタイムも年々早くなり、今後の大きな発展が期待されています。

車椅子ラグビー(ウィルチェアーラグビー)の迫力

意外に思う方もいるかもしれませんが、ラグビーにも車椅子競技があります。激しいと言われる車椅子ラグビーの歴史やルール、車椅子の特徴をご紹介します。

車椅子ラグビーの歴史とルール

車椅子ラグビーは、「障害者もチームスポーツをできるように」という思いから、1977年にカナダで始まりました。

一般的なラグビー同様、車椅子でのタックルも認められているなど、非常に激しいスポーツです。その激しさは、「MURDERBALL(殺人球技)」とも呼ばれることがあるほど。

チームは4人で構成され、通常のラグビーとはルールも異なり、前方へのパスも可能です。障害のレベルに応じて持ち点が付与され、1チームのポイントは8ポイントまでとなっています。

ウィルチェアーラグビーの車椅子は?

他の車椅子競技と異なるのが、「攻撃型」と「守備型」の2種類の車椅子があることです。攻撃型は小回りができるようにコンパクトに設計され、守備型は相手の動きを止められるように前方にバンパーが突き出しています。

タイヤには保護用にスポークカバーがついているものの、試合中はパンクすることも珍しくありませんそれほど激しいスポーツなのです。

日本勢、リオでは銅メダルの快挙

2016年のリオデジャネイロで開催されたパラリンピックでは、日本の車椅子ラグビー勢は悲願の銅メダルを獲得初出場の2004年から12年、初めてメダルに手が届きました。今後の活躍にも多いに期待がかかっています。

精緻なリリースが求められる 車椅子のカーリング

平昌五輪で女子日本代表が銅メダルを獲得したのが記憶に新しい、カーリング。そんなカーリングにも車椅子バージョンが存在します。車椅子カーリングにはどのような歴史やルールがあるのでしょうか。

車椅子カーリングの歴史とルール

車椅子カーリングは、1990年代にヨーロッパで始まりました。2006年のトリノパラリンピックで正式競技の仲間入りを果たしています。

 

一般のカーリングのルールとの違いは、

  • 車椅子が静止した状態で投球すること
  • スウィーピング(ブラシで氷を掃くこと)の禁止
  • 男女混合チームであること

などが挙げられます。

一般のカーリングではリリースとスウィーピングの共同作業で得点を稼ぎますが、車椅子カーリングの場合はそれが許されません。そのため高度なリリース技術が求められるスポーツなのです。

電動車椅子によるサッカー パワーチェアフットボール

車椅子サッカーは車椅子スポーツの中でも珍しい、電動車椅子を使用する競技です。海外では「パワーチェアフットボール」、「パワーサッカー」などとも呼ばれています。

電動車椅子サッカーの歴史

電動車椅子サッカーは、70年代後半から80年代にかけてヨーロッパで誕生したスポーツですが、2000年に入るまでは、各国が独自のルールを作って競技が行われてきました。ルールの統一が行われたのは2006年以降のこと。2007年に初めてワールドカップが開催されました。

電動車椅子を操作できれば、誰にでも参加資格がある

電動車椅子サッカーは、1チーム4人構成、男女混合で行われる競技。

電動車椅子を操作できれば、老若男女に関係なく参加することが可能です。試合では車椅子と車椅子が激しくぶつかり合う、迫力のあるプレーが展開されます。

全国にある電動車椅子サッカーチーム

日本電動車椅子協会に登録しているチームは、全国に30チーム以上競技人口は500人以上になります。

各地域での独自の大会の他、日本電動車椅子サッカー選手権大会や、ワールドカップなどが開催されており、選手たちの活躍の場は広がっています。

車椅子と一体化して競う迫力と感動がある

これまで、それぞれの車椅子スポーツの歴史や特徴的なルール、それに伴う車椅子の進化などをご紹介してきました。

特に、競技用の車椅子の発展には、目を見張るものがありますね。これらの車椅子スポーツが実現化した背景には、車椅子を開発する人と使う人の双方に熱い思いがあったことが分かります。

気になる車椅子スポーツがあったら、大会などをチェックして応援してみてはいかがでしょうか。車椅子と自身を一体化させて選手同士が競い合う迫力と、スポーツに真摯に取り組む選手の姿は、勇気や感動を感じさせてくれます

また、これらの車椅子スポーツが創設された背景やルールを学ぶと、また違った見方ができるかもしれませんね。

 

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