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高齢者の移動手段を考える 引きこもり、買い物難民にならないために


高齢ドライバーによる事故のリスクを下げるため、国や自治体をあげての免許返納推進が行なわれています。その一方で免許返納後の高齢者の移動手段をどう確保するか?地方の高齢化、過疎化が進む中、高齢者の移動手段確保が問題になっています。これからの高齢者の移動手段を考えます。

目次

高齢者の移動手段が問題視される理由

国や市町村の取り組み・対策

免許返納後の移動手段はどうする?

電動の移動手段 自立して移動できるものは?

 

高齢者の移動手段が問題視される理由

 

高齢者の移動手段が問題となっている理由はどんなところにあるでしょうか?

 

買い物難民とは

出典:農林水産省「農林水産政策研究所レビューNo.86」より作成

 

買い物難民(買い物弱者等)とは、生活必需品などの買い物が困難な状況に置かれている人のことです。

こうした人は、2005年には678.4万人、2015年には824,6万人と年々増えています

 

店舗数縮小や交通空白地域に加え、高齢化も

出典:総務省行政評価局 「買物弱者対策に関する実態調査 結果報告書(平成29年)」より作成

 

その背景には、地方の過疎地域などにおける店舗数の減少や、公共交通機関の縮小などに加え、住民の高齢化があげられます。

バス停や駅までの距離が遠くなり、さらに店舗の数も減る状況では、買い物をするのも大変になります。動けるうちは、高齢者が自家用車、免許を手放せないという現状があります。

 

高齢者自身が移動に不安を感じている

内閣府が行った「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」では、下記のような現状が報告されています。

小都市・町村は「日常の買い物に不便」「医院や病院への通院に不便」「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」が2割弱~2割半で、中都市・大都市(それぞれ1割弱~1割半)に比べて高い

出典・引用:「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」|内閣府

 

また、高齢者にとって公共交通機関が使いにくい・整備されていないという回答は全体の14.1%を占めています。

この調査結果からも、移動手段に対する不安を抱えている高齢者が多いことは明白です。

 

高齢者の事故率と推進される免許返納


出典:内閣府「令和元年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況

 

実際に、内閣府が令和2年に行った調査によると、70歳以上のドライバーは年々増加し、運転免許保有者の14.5%を占めています。

出典:内閣府「令和元年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況
その一方で、令和元年における75歳以上のドライバーが起こした死亡事故件数は401件、ブレーキとアクセルの踏み違い事故については75歳未満が全体の0.5%にすぎないのに対し、75歳以上の高齢運転者は全体の7.0%という高い数字が報告されているのです。

 

内閣府は認知機能や身体機能の低下等などによって運転に不安を抱える場合は、運転免許を返納することを推奨しています。

 

本人確認書類として使用できる運転経歴証明書の交付や、自治体が行う支援施策などを充実させることで、免許返納による生活への影響を最大限抑える取り組みが行われていますが、近年の免許返納率は75歳以上でも5%程度とほとんど進んでいません。

 

 

国や市町村の取り組み・対策

買い物難民対策や、高齢者の免許返納推進に向け、国や自治体では様々な対策を打っています。

 

買い物難民対策

中都市・小都市では「コミュニティバス・乗合タクシーの運行等に対する支援」、大都市では「宅配、御用聞き・買い物代行サービス等に対する支援」「移動販売車の導入・運営」などを行政と民間企業が一体となって行うなど、対策を必要とする市町村のうち、73.4%の市町村で何らかの対策を実施しており、増加傾向にあります。しかしながら、その一方で対策によりカバーできている割合は「30~60%程度」と答えた市町村が31.0%と、まだ十分とは言えない状況です。

参照:農林水産省「食料品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査結果

 

免許返納の特典としてタクシーの割引券などの配布

高齢者の免許返納推進のため、各自治体では各種特典を用意しています。

【免許返納の特典の例】

東京都 l  患者移送サービス30%割引

l  タクシー料金の10%割引

l  引っ越し料金の割引

l  金融機関の金利優遇

l  ホテル・レストランでの飲食代10%割引

大阪府 l  タクシー料金の10%割引

l  バスの回数券配布

l  地域商店街の商品割引券

l  眼鏡・補聴器・電動カートの購入代金割引 など

引用:運転免許証の自主返納をお考えの方へ 〜各種特典のご案内〜|高齢運転者支援サイト

 

公共交通機関の割引や無料回数券などの移動手段支援の他にも、買い物や飲食の割引などがありますが、特典は自治体によって異なるので確認が必要です。

こちらも参照 「免許返納するとどんなメリットがある?年齢は?手続きの仕方は?

 

高齢者の移動手段はどうする?

免許返納をしても、日々の買い物や通院などの外出機会はあります。車に代 乗り物、代替の交通手段を高齢者自らあるいは、その家族が考える必要があります。

免許を返納し、マイカーを手放した高齢者の移動手段として考えられる乗り物にはどんなものがあるでしょうか?

 

原動機付自転車(スクータ)、電動バイク

免許返納の際に、普通自動車の免許のみ返納する、という選択も可能です。
原動機付自転車や電動バイクは、免許返納時に原動機付自転車免許を残せば乗ることができますが、高齢者の事故リスクを下げる、という意味ではあまりおすすめではありません。

 

公共交通機関(鉄道・バス)

近くにバス停や駅があるのであれば、公共交通機関を利用するのがベスト。
プロの運転で安全で、免許返納特典や自治体による支援(シルバーパスなど)があります。

ただし、時刻表に沿って運行されるので、いつでも好きな時に、というわけにはいきません。

 

オンデマンドバス・乗合タクシー

大阪や福岡などで運行が開始されているオンデマンドバスや、長崎市などで実施されている乗り合いタクシー。事前予約で希望の時間に自宅近くまで迎えに来てくれて、目的地まで運んでくれます。お住いの地域で実施されていれば、便利な乗り物です。一度お住いの自治体に問い合わせてみると良いでしょう。

ただし、それぞれ仕組みが違うことと、事前予約が必要なケースも多いので、予約方法をマスターする必要があります。

 

電動アシスト自転車・自転車

近距離への移動なら、自転車を選ぶのもありです。自転車なので自ら漕がなければなりませんが、電動アシスト自転車なら楽に前進してくれます。久しぶりの自転車で安定性が不安という方は、三輪自転車を選べば良いでしょう。電動タイプもあります。

自転車、電動アシスト自転車は、軽車両に該当するので70歳以上の方は歩道を走ることもできますが、基本的には自転車走行レーンか、「普通自転車歩道通行可」の標識がつけられたところのみ歩道を走ることができます。

 

シニアカー(電動カート)

免許返納後の高齢者の乗り物として、一番に思い浮かぶ乗り物かもしれません。
自ら漕ぐ必要もないので、楽に移動できます。道路交通法上では歩行者扱いなので歩道を移動し、大型店舗であれば、乗り入れすることも可能な場合もあります。

また、介護度に応じて介護保険を利用してレンタルが可能なモデルもあり、自治体によっては購入支援策もあります。

 

電動車椅子

椅子型なので、幅を取らず室内室外問わず移動できます。電動であれば、介助者がいなくても自立して行動可能です。また飛行機では手荷物として預け入れできたり、新幹線、電車など乗り入れたりすることも可能です。(車種やサイズによる条件はあるので事前に確認は必要です)

こちらも介護度に応じて介護保険を利用してレンタルできるモデルや、購入支援策があります。

 

高齢者の目的と好みに合った移動手段を

電動アシスト自転車、シニアカー、電動車椅子 比較

運転免許が不要で、自立して移動できる乗り物である、電動アシスト自転車、シニアカー、電動車椅子の特徴について、表にまとめました。

主にどんなところを(室内・室外)、どのくらいの距離を移動したいのか?目的に合ったものを選んでください。

 

電動アシスト自転車
(二輪・三輪)
シニアカー 電動車椅子
運転免許 不要 不要 不要
道路交通法
での扱い
軽車両 歩行者 歩行者
最高速度 時速6km 時速6km
航続距離※2 約45km 約20~30km 約10~20km
店舗乗入 ×
介護保険
利用
なし あり あり

※1 時速24kmを超えるとアシストされなくなります。

※2 1回の充電で走れる距離

 

レンタルするか、購入するかは使用頻度も考えて

シニアカーや電動車椅子は、レンタルでは介護保険制度が、購入では各自治体の購入補助なども使えます。

レンタルにするか、購入するかについては迷われる方も多いと思います。

長期間利用したい、乗りたいシニアカーの車種があるといった方は購入がおすすめです。

購入するのであれば、中古車も出回っていますが、安全性や衛生面を考えると、新車で買う方が安心です。

【参考】

高齢運転者の交通事故の状況 令和2年交通安全白書|内閣府

高齢者の交通安全に向けた取組|内閣府

高齢者の免許返納は2年連続減少|ニッセイ基礎研究所

 

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