「介護予防」という言葉を耳にしたことはありますか? 自分は無関係だと思っていたのに、「一人の生活で不便を感じるようになった」「家からほとんど出なくなった」「物忘れが増えた」など、気がついたら要介護の一歩手前まで来ていたということがあります。
自立した生活をできるだけ長く続けるためには、「介護予防」することが重要なのです。介護予防の基本的な知識や、受けられるサービスなどを詳しくご紹介します。いつまでも元気で楽しく生きるために、しっかり知識を身につけておきましょう。介護予防給付を受けたい人も、参考にしてください。
目次
介護予防とは?
介護予防はなぜ必要なのか?
介護予防のための基本チェックリスト
どんなことができる?介護予防事業とその対象者は?
介護予防給付サービスの内容は?
総合事業( 介護予防・日常生活支援総合事業)とは
今すぐ始める 介護予防
介護予防とは?
高齢化社会が進む中、高齢者やその家族は、これまでのあり方を変えていく必要がありそうです。そうした中で、「介護予防」という新しい考え方が生まれました。まずは、介護予防の定義や、これからの介護予防についてご説明します。
介護予防 厚生労働省の定義
厚生労働省の定義では、介護予防は
“要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと”
としています。
また介護予防における、予防の段階は三段階あり、
一次予防
活動的な状態から、要介護状態になることの予防
二次予防
虚弱な状態にある高齢者の、生活機能低下などの早期発見、早期対応することで状態の改善、要支援状態となることを遅らせる予防
三次予防
要支援、要介護状態にある高齢者の要介護状態の改善や重度化を予防
となっています。
参照:介護予防マニュアル(改訂版:平成24年3月)
こうした介護予防を実現するためには、一人一人が、自分の状態をよく認識して健康を保つこと と、要介護の状態になったとしても、積極的にリハビリをしたり、介護サービスを受けたりすること で、身体能力を向上させることが大切になります。
また、住み慣れた地域内でできる限り自立した生活をするためにも、地域支援事業を利用することが奨励されます。
介護予防はなぜ必要なのか?
少子高齢化が進む現在、全人口に対する65歳以上の人口の割合は、2045年には35%以上 になる見込みです。その頃には、高齢者一人を、生産年齢人口(15-64歳)1.4人で支える ことになり、生産年齢人口の負担は増していきます。
生産年齢人口の介護負担を軽減するため、要支援・要介護状態になるのを少しでも遅らせ 、また。高齢者が自分自身でできることを増やしていくのをサポート しようという考え方、それが「介護予防 」です。
また、自立した生活をできるだけ長く送れることは、高齢者自身の生活の質、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めることにもつながります。
参照:交易財団法人 生命保険文化センター「少子高齢化はどれくらい進むの? 」
介護予防のための基本チェックリスト
まず、自分の状態を確認してみましょう。
65歳以上の高齢者が、自身の健康状態を振り返り、心身の機能に衰えがないかどうかチェックするために、厚生労働省が作成した「基本チェックリスト」があります。このチェックリストで確認することにより、生活機能が低下しつつある高齢者を早期に発見することができます。
問1〜20で10点以上は、全般的な生活機能低下の可能性があります。
また
・日常生活に関連する動作(No.1〜5)
・運動器の機能(No.6〜10)
→3点以上で運動機能低下の可能性あり
・栄養状態(No.11〜12)
→2点で低栄養の可能性あり
・口腔機能(No.13〜15)
→2点以上で口腔機能低下の可能性あり
・閉じこもり(No.16〜17)
→No.16 該当で、引きこもりの可能性あり
・認知症(No.18〜20)
→1点以上で認知機能低下の可能性あり
・うつ(No.21〜25)
→2点以上でうつ傾向の可能性あり
上記に該当する人は、要支援・要介護状態となるおそれの高い状態にあると認められるため、介護予防事業を利用できる可能性があります。お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみてください。
どんなことができる?介護予防事業とその対象者は?
高齢者は必要に応じて、介護予防のためのサービスを受けることができます。どのサービスを受けられるかは、相談内容やチェックリストの結果などによって決められます。
介護予防事業は、まず大きく「予防給付」と「総合事業」 に分かれます。
予防給付に該当するサービスは、要介護認定を受けて、要支援1、要支援2の認定を受けている人 が利用できます。
総合事業に該当するサービスは、65歳以上のすべての高齢者が対象 となります。
またそれぞれの事業には、都道府県政令市、中核市が指定・監督を行うサービスと、市町村が指定・監督を行うサービスがあります。
それぞれのサービスにはどんなものがあるか見ていきましょう。
介護予防給付サービスの内容は?
要支援認定を受けている人が対象になる介護予防給付では、どのようなサービスが受けられるのでしょうか。そのうちのいくつかを、「介護予防サービス」と「地域密着型サービス」に分けて説明します。
介護予防サービス
都道府県・政令市・中核市が指定・監督を行う「介護予防サービスの」には以下のようなものがあります。
「介護予防訪問看護」~訪問サービス
看護師、保健士といった専門職員が自宅を訪問し、看護や診療の補助を受けることができます。
「介護予防居宅療養管理指導」~訪問サービス
医師、歯科医師、栄養士などが自宅を訪問し、診療や検診などを受けられます。また、食事内容や食事方法の指導などを受けられます。
「介護予防通所リハビリテーション」~通所サービス
施設に通って専門家によるリハビリを受けることができます。そのほか、食事・入浴の支援、口腔機能向上サービスなども受けられます。
「介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)」~短期入所サービス
特別養護老人ホームやショートステイ専門施設などに短期間入所して、日常生活をするうえで必要な機能訓練や支援を行うサービスです。
地域密着型介護予防サービス
地域密着型介護予防サービスは、市町村が指定・監督を行うもので、高齢者が住み慣れた地域内で生活できるように、各地域の特性に対応したサービスです。
「介護予防小規模多機能型居宅介護」
このサービスを利用する高齢者は、できるだけ自宅で生活をしながら、「通い」でサービスを受けますが、場合によっては「訪問」や「泊まり」のサービスを組み合わせることができます。しかし、あくまで自宅での生活を基本とします。対象は要支援1〜2で、高齢者の生活機能の維持と向上を目的とします。
「介護予防認知症対応型通所介護」
軽度の認知症を患う高齢者に対し、デイケアセンターなどで生活に必要な介護や健康状態の把握、リハビリといったサービスを受けることができます。対象は要支援1〜2で、要介護の状態になることを防ぐのを目的としています。
総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)とは
総合事業は、「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」があります。それぞれのサービスについて解説していきます。
介護予防・生活支援サービス事業
介護予防・生活支援サービス事業は、市町村が主体となって取り組む地域支援事業です。対象は、要介護認定で要支援1、要支援2と認定された人、または上記基本チェックリストの該当者になります。要介護状態になるのを防ぐことを目的としています。
「訪問型サービス」
自立した生活をするために、自宅の家事など、本人ができない部分の支援をおこないます。
「通所型サービス」
生活機能と身体機能の維持と向上のために、デイケアサービスなどに通って体操などの活動をおこなうサービスです。サービスの提供者は、民間事業者やNPOをはじめ、住民主体の活動もあります。
「その他の生活支援サービス」
「安否の確認」と「栄養管理」が一緒にできる配食サービスや、ボランティアによる訪問サービスなど、自立した生活を補助するための生活支援サービスです。
「介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)」
高齢者の健康状態や、どの程度自立した生活ができているのかを把握したうえで、当事者の希望するサービスを組み立て、ケアプランをつくるサービスです。
一般介護予防事業
一般介護予防事業は、65歳以上の全ての高齢者が対象となります。健康で自立した生活が十分にできる段階から、要介護にならないように予防をおこなうための事業です。通いの場を充実させ、そこで高齢者が生きがいをもち、社会参加をして役割を担うことで、自立した生活ができるようになることを目的としています。
「介護予防把握事業」
何らかの支援が必要な方を把握し、介護予防活動へつなげる事業です。
「介護予防普及啓発事業」
介護予防に関することをまとめたパンフレットを作成し、介護予防の基礎知識を周知させるための事業です。
「一般介護予防事業評価事業」
介護保険事業計画で定められた目標値に対しての達成状況の検証を行い、一般介護予防事業の評価を行います。
「地域リハビリテーション活動支援事業」
リハビリの専門職員が、介護職員や住民に向けて介護予防のアドバイスをする事業です。
参照:厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン
今すぐ始める 介護予防
介護予防について、簡単に基礎知識やサービス内容についてまとめました。
少しでも不安や気になることがあったら、お住いの地域の地域包括センターに相談してみると良いでしょう。
しかし、介護状態になることを予防するには紹介したサービスを利用するだけでなく、もっと早くから、今すぐにでも自分でできることもあります。
最近では、少しパソコンやスマートフォンで検索すれば、各市町村の取り組みや、いろいろな情報が出てきます。ぜひ積極的に活用してください。
参考に、東京都のいくつかの例を見てみます。自宅でできる介護予防の体操を動画で紹介しています。外出できない日などでも、家で体を動かし、介護予防に努めましょう。
<文京区>
文の京介護予防体操
東京都文京区では、「文の京介護予防体操(ふみのみやこかいごよぼうたいそう) 」の啓もう活動を、Youtube動画や、動画ファイルや音源ファイルの提供、ケーブルテレビでの放映など、幅広いメディアで行っています。また地域会場に出張し、自由参加で教えてもらえるイベントなども開催しています。(2021年6月現在は感染状況等を踏まえ、中止になる場合もあるとのこと)
<江東区>
脳トレ体操①じゃんけん脳トレ体操
東京都江東区作成の「脳トレ体操」シリーズは、現在16本目の動画も配信中。まずは試しにやってみてはいかがでしょうか? 脳トレは、認知症予防に繋がります。
VIDEO
介護予防体操も、脳トレ体操も、楽しみながら取り組むことが大切です。
お住いの地域の市区町村ホームページをぜひチェックしてみましょう。
参照: 東京都 都内の介護予防・フレイル予防の取り組み
積極的な社会参加を
高齢になると、外に出る機会が少なくなっていきます。しかし、自宅に引きこもるのは身体機能の低下や認知症を招きます。自分で買い物に出たり地域の集まりに参加したりと、積極的に出かける予定をつくり社会参加をしていくのが、介護予防においてはとても重要 になります。
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記事監修:加藤陽子氏
株式会社 エンパワーメント
代表取締役・介護支援専門員
2003年より介護支援専門員として就業。
2014年に単独の居宅介護支援事業所を開設し現在に至る。独立時より地域活動に取り組む中で、2017年に地域住民と一般社団法人を設立し、総合事業(サービスB)や地域マネジメントに取り組んでいる。
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